ドリーム (2枚組)[4K ULTRA HD+2Dブルーレイ] [Blu-ray]
映画「ドリーム」は、2016年のアメリカ映画である。
原作「ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち」
ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち (ハーパーBOOKS)
アメリカの威信を掛けたNASAのマーキュリー計画(※)を支えた3人の黒人女性の実話に基づいている。
※アメリカ合衆国初の有人宇宙飛行計画
時代は、第二次世界大戦が終わり、ソ連との冷戦時代である1960年代の話である。
ソ連は、1957年に人類で初めての人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げる。
アメリカにとっては、この出来事は大きなショックであった。
その後、ソ連とアメリカは宇宙開発競争に突入する。
この時代は白人と有色人種の分離政策を行っており、仕事する建物、トイレは全て黒人と白人で分けられていた。
そのような時代、NASAの計算係に勤務する黒人の3人の女性は、
- キャサリン・ゴーブル・ジョンソン
- ドロシー・ヴォーン
- メアリー・ジャクソン
である。
3人ともに優秀であるが、黒人でしかも女性であるばかりに要職には着けずにいた。
いろいろな事を諦めなければいけない時代であった。
しかし、3人とも不屈の精神で壁を打ち破っていく。
(ここ以降、少しだけ内容に触れます)
主人公のキャサリンは、数学に天才的な才能を持つ。
ロケットの軌道計算には、高度な数学(解析幾何学)である。
NASAの本部長であるアル・ハリソン (ケビン・コスナー)では、解析幾何学ができる数学者を探しており、キャサリンに目を付けるが、さまざまな差別がキャサリンを待ち受けていた。
ドロシーは、NASAで導入したIBMのメインフレーム(大型コンピュータ)の開発言語FORTRANを独自に勉強し、プログラミングの仕事を勝ち取っていく。
メアリーは、エンジニアになろうとするが必要な学位は白人しか取れないため、裁判所に訴えかけて学位をとれるように交渉する。
NASAの本部長役であるケビン・コスナーがまたカッコいい。
黒人のトイレが別であるため、キャサリンは800mも離れたトイレに40分もかけて走り回っていた。
それを知った本部長(ケビン・コスナー)は、白人のみのトイレのプレートをハンマーでぶち壊すのだ。
また、この映画には、マーキュリー計画で有名な宇宙飛行士ジョン・グインも登場する。
このジョン・グインがまたカッコいいのである。
ジョン・グインは、キャサリンを信頼しており、彼女が計算した軌道計算の結果でないとロケットには乗らないと言い出すのである。
宇宙飛行士ジョン・グインの活躍については、映画「ライト・スタッフ」で良く描かれている。
ライト・スタッフは、マーキュリー計画の7人の宇宙飛行士の実話であり傑作である。
ファレル・ウィリアムスの曲がまたいい。
1960年代のイメージを良く再現している。
その他、個人的にはIBMのメインフレーム(大型コンピュータ)のプログラミングをパンチカードに目が行ってしまった。
パンチカードは、プログラムコードを紙カードに穴の位置のパターンに変換し、コンピュータに読み込ませるというものであるが、私が学生の頃や会社に勤めた頃、実際に使っていたため懐かしさがこみ上げてきた。
オープンリールがくるくる回る大型コンピュータや開発言語FORTRANもとても懐かしい。
以上が映画「ドリーム」の感想である。
邦題はドリームであるが、原題は「Hidden Figures」である。
「隠された人たち」といったところか。
キャサリン・ゴーブル・ジョンソンは、1969年、人類で初めて月面に着陸したアポロ飛行の計算を手掛けた功績が認められてオバマ大統領から大統領自由勲章を授与されている。