「ラプラスの悪魔」は、未来の出来事は宇宙が生まれた瞬間からすでに決定されているのかどうかを論じる際の思考実験である。
ビリヤードの思考実験
ビリヤードとは、布を貼った長方形のテーブル(ビリヤード台)上でキューと呼ばれる棒を使い、ビリヤード台に乗っている球を突くゲームである。
もし最初に球を突くときのキューの強さ、角度などを正確に知ることが出来れば、ある時間後のビリヤード台に乗っているすべての球の場所、速度を計算で分かるはずである。
「ラプラスの悪魔」の思考実験
ビリヤードの思考実験を発展させて、ある瞬間の宇宙に存在する全ての物質(原子)の場所、速度を知ることが出来れば、物理法則の計算により、ある時間後のすべての物質の場所が分かるというものである。このようなことが出来る知的存在がラプラスの悪魔と呼ばれる。ラプラスの悪魔は本当に存在する訳ではなく、上記の思考実験に登場する架空の存在である。
もう少し平たく説明すると、ある瞬間点の宇宙全体の振る舞い知ることが出来れば、未来のどの時点でも宇宙がどうなっているかが分かるというものである。
もっと身近なところで言うと、明日、株価がどうなっているか、来年どの球団が優勝するか、自分が死ぬ年月は、「ラプラスの悪魔」の思考実験によると、すでに決定されているというものである。
未来は決定されていない?
ミクロの世界は、確率的な振る舞いをする世界である。原子の場所、速度は確率的に揺らいでいる。ミクロの世界に、もし、ビリヤードがあったとしたら、それぞれの球の場所、速度がぼやけて見えているため、「ラプラスの悪魔」は正確に球の場所、速度を知ることが出来ない。
ということは、「ラプラスの悪魔」をもってしても、未来を知ることはできないということである。
未来を知ることが出来ないだけであって、未来が決定されているかどうかとは別な話である。
結局、未来は決定されているかどうかは、今の物理学では分からないのである。
しかし、未来は決定されていない可能性は高いと言われている。