培養を開始してから10か月が経過したミニ脳について世界を驚かせている。
このミニ脳は、正式には「脳オルガノイド」と呼ばれる。
オルガノイドとは、試験管で作られた臓器という意味だ。
ミニ脳を含めてオルガノイドは、ヒト幹細胞から作られる。
今回、このミニ脳を作ったのは、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームである。
このミニ脳は、卒中患者の完治などが期待されているそうだ。
ところでミニ脳は、人と類似した脳波を検出したとのことだ。
研究チームは、ミニ脳の脳波パターンを早産児の脳波パターンと比較したそうである。
39人の早産児の脳波パターンデータを機械学習させたものを使い、ミニ脳の脳波パターンが早産児のものと同じかどうか確かめたらしい。
その結果、早産児の脳波パターンと類似していることが分かった。
このミニ脳は、意識があるのではないかと言われているが、そもそも意識とは何かという定義については、学者間でも論争されている。
意識があるのか、ないのかは結論は出ないだろう。
倫理的な問題があるのは明確である。
このミニ脳が進化すると次は、情報処理するためのロジックをミニ脳にプログラミングすることだろうと言われている。
バイオコンピュータという分野である。
現在のシリコン素材ではなく、生体を使ったコンピュータである。
科学の進歩は、SF小説のようだ。
ところでこのミニ脳の話であるが、これと似たSF小説がある。
「ドノヴァンの脳髄(Donovan's Brain)」である。
1943年の米国のSF作家カート・シオドマクの小説である。
脳を体外で取り出し、生存させるパトリック・コーリイ博士の話である。
飛行機墜落現場で発見された重傷者が博士のもとに運ばれる。
意識不明の患者からパトリック・コーリイ博士は、脳髄を摘出してガラス容器に納める。
脳波計をつなぐと脳は生き続けていることが分かった。
しかも意識があるらしい。
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興味のある人は、小説を見てほしい。
フランケンシュタインにも似た古典SF小説である。
今は絶版であるが古本では売られている。
また1953年に映画化もされている。