「シュレディンガーの猫」は、物理学のおける有名なパラドックスの一つで、分かりやすく説明するために考え出された思考実験に登場する猫ことである。
ミクロの世界
私たちの常識では考えられないことが、ものすごく小さいミクロの世界で起きている。
例えば、ある一つの粒子が別な場所に同時に存在するなどである。(別な見方をすると粒子が存在する場所が未確定の状態でどちらにも存在しうる状態)
この粒子を私たちが見た瞬間、あたかもそこに最初からあったかのように場所が確定されるのである。このように私たちが見る(観測する)ことで粒子の状態が確定するのである。(粒子の場所だけでなく粒子の状態そのものが観測によって確定する)
ミクロの世界では、このように考えないとつじつまが合わない現象が起きている。
何とも理解しがたいことであるが、ミクロの世界のことなので目をつぶることにしよう。
ところがこれがミクロの世界だけでなく私たちが目にするマクロの世界でも起きうるという思考実験が考え出された。これが「シュレディンガーの猫」である。
「シュレディンガーの猫」
外からは中が見えない箱の中に以下のものを入れる。
①ラジウム
②ガイガーカウンター
③青酸ガス発生装置
④猫
シュレディンガーの猫
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典より引用(著者Dhatfield)
ラジウムは1時間後に崩壊(別な原子に分解すること)して放射線を出す確率が50%である。
崩壊しているかどうかは、私たちが観測するまでわからない。(観測するまでは、崩壊している状態と崩壊していない状態を合わせ持つ)
ガイガーカウンターは、放射線を検出すると青酸ガス発生装置にスイッチを入れる。
青酸ガス発生装置から青酸ガスが出ると猫は死ぬ。
1時間後、猫は生きているのか死んでいるのか。
箱を開ければ分かることであるが、私たちの常識では箱を開けるかどうかに関わらず、猫の生死は確定しているはずである。
しかしである。
ラジウムが崩壊して放射線を出しているかどうかは、観測するまで崩壊している状態と崩壊していない状態を合わせ持っている。ということは、猫も生きている状態と死んでいる状態が同時に存在していることになる。
私たちが箱を開けて観測して、初めて猫の生死が確定するのである。
箱を開けるまで猫が生きている状態と死んでいる状態は確認することは出来ない。
確認するということは、観測することなのでその時点で生死の状態が確定してしまうためである。
これは、私たちの常識からかけ離れている。
それゆえパラドックスである。
このパラドックスの解釈をめぐっては今も解決されていない。