1.生命とは何か
生命はどうやって誕生したのか。
この疑問に答えるには、生命とは何かを明確にする必要がある。
学者によって異なるが次の2つの機能を持っている場合、生命といえる。
①自己複製
自分と同じ子孫を自ら作り出すことが出来る。
②代謝
生命を維持するために必要なエネルギーを自ら得ることが出来る。
生命の起源を知るということは、この2つの機能をいつ、どこで、どのようにして獲得したのかを知ることである。
2.生命の起源の三つの説
生命の起源には、以下の三つの説がある。
①神の行為などの超自然現象説
神が生命を創造したというものである。
多くの神話で語られている。
②パンスペルミア説(地球外に起源)
生命は、宇宙のどこかで生まれて隕石などに混じって地球にやって来たという説である。
③地球起源説
地球上で化学変化を繰り返し、生命が誕生したという説である。
複雑な生命の仕組みは、自然現象で発生はしないと考える人々もいると思うが、気が遠くなるくらいの時間をかけて少しずつ変化して生命が誕生したと考えてもおかしくはない。
現在、多くの科学者は、「③地球起源説」の立場を取っている。
3.いつ生命は誕生したのか
地球に降り注いだ隕石の衝突が止んだのは40億年前のことである。
そのため、生命が誕生するとしたら40億年前からだと考えられている。
隕石が降り注ぐ過酷な環境で生命が生き延びることは出来ないと考えられるためだ。
38億前の地層から生命の痕跡が見つかったことから生命は、40億年前から38億年前の間に誕生したと考えられている。
4.どのようにして生命は誕生したのか
①生命の素材
生命の素材(アミノ酸などの有機物)の一部は、隕石に乗って宇宙からやって来たことがわかっている。
生命の素材は、宇宙起源のものと地球起源のものが合わさって出来たと考えられている。
②生命が誕生した場所
生命が誕生した場所は、海中であるというのが一般的な認識である。
最も有力な場所は、熱水噴出孔だ。
熱水噴出孔とは、マグマで熱せられた海水が海底から吹き出す場所だ。
この熱水噴出孔は、生命の誕生に有利に働く場所と考えられている。
③生命の誕生に必要な膜のカプセル
生命の誕生には、生命の素材が高濃度に濃縮される必要がある。
膜のカプセルの登場により、生命の素材が高濃度に濃縮されたと考えられている。
④RNAワールド仮説
RNAワールド仮説は、生命の起源を説明する現在、最も主流となっている仮説である。
生命には、自己複製と代謝の2つの機能が必要である。
自己複製するためには、設計図が必要である。
また、代謝には化学変化を行う装置が必要である。
RNAは、自己複製と代謝の両方を兼ね備えたものである。
そのため、RNAが最初に登場したと考えられている。
参考文献
「生命」とは何かいかに進化してきたのか―最初の生命から哺乳類まで (Newton別冊)