科学(宇宙、物理学、数学) 3分でわかるシリーズ

3分でわかる「マルチバース(多宇宙)と人間原理」

投稿日:2017年1月1日 更新日:

1.マルチバース(多宇宙)


 

宇宙は、「無」から誕生したと言われている。

「無」から誕生した宇宙は、私たちの宇宙だけではないかも知れない。

宇宙を表す言葉で「ユニバース(universe)」がある。

この言葉の「uni」は「一つの」という意味であり、ユニバースは、「ただ一つの」宇宙という意味合いとなる。

しかし最近、複数の宇宙が存在する可能性が出てきたため、「複数の」という意味合いの「マルチバース(多宇宙)」が使われるようになってきている。

 

2.宇宙の膨張と形


 

宇宙の膨張

宇宙の膨張は、次の3つのパターンが考えられる。

①「閉じた宇宙」(いずれ収縮に転じてやがて特異点(1点)に達する。ビッククランチと呼ばれる。)

②「平坦な宇宙」(膨張はしているが限りなく膨張率0に近づいていく。)

③「閉じた宇宙」(永遠に膨張し続ける。ビックリップと呼ばれる。)

以前は①「閉じた宇宙」の説であったが2005年の観測結果により②「平坦な宇宙」であることがわかった。(膨張はしているが限りなく膨張率0に近づいていくということ。)

しかし、別な観測では、宇宙は加速度的に膨張し続けているという結果がでた。

なぜこのような異なる結果となったのか。

実は、宇宙にはまだ知られていない未知のエネルギーがそこら中に存在している。

これはダークエネルギーと呼ばれている。

宇宙の全質量の70%も占めている。

結論としては、宇宙の曲率は0であり、宇宙の膨張は加速しているということだ。

宇宙の形

宇宙はこれまで4次元上の球体のように理解されてきた。

つまりどこまでもまっすぐ進むともとに戻ってくるというものだ。

しかし、2005年の観測では、宇宙空間は平坦であるという結果となった。(平坦な宇宙)

球体のような形ではなく、無限に宇宙空間が広がっているということなのか。

最近の研究では、私たちの宇宙の外にも空間があり、別な宇宙とつながっていると考えられている。もしかしたら別な宇宙では別な曲率かも知れない。

今、私たちが観測している範囲がたまたま曲率0だった可能性もあるようだ。

結局、現状、宇宙の形はわからない。

しかし、宇宙に始まりがあったということは、宇宙は有限である可能性は高い。

 

参考

平坦性問題

 

3.宇宙から子宇宙、孫宇宙が生まれる説


 

インフレーション理論

宇宙は、誕生した瞬間、「無」から急速に膨張したと言われている。

「インフレーション」と呼ばれる現象だ。

「インフレーション」は突然終了し、その後、緩やかな膨張に変わる。

出典 NASA

このインフレーションは、一様に起こるのではなく局所的に起きる。

つまりムラがあるわけだ。

そのため生まれた宇宙から子宇宙、孫宇宙が次から次へと泡のように生まれる。

それらの宇宙は、最初はつながっているがやがて切り離されて独立した宇宙となる。

この場合、元の宇宙から枝分かれして宇宙ができるため、枝分かれした宇宙は元の宇宙と類似している可能性が高い。

 

4.同時に複数の宇宙が生まれる説


 

永久インフレーション理論

このインフレーション理論の拡張版である永久インフレーション理論が考え出された。

この理論では、インフレーションは終わらずに永久に続く。

この永久インフレーションでは、兄弟宇宙が次から次へと誕生する。

(これらの宇宙は「ポケット宇宙」という)

これらの宇宙は、それぞれ大きく異なったものになる可能性が考えられる。

なお、2.宇宙の膨張と形のところで述べたが永久インフレーション理論では、それぞれの宇宙は、空間でつながっている。

 

5.複数のブレーン(膜)の宇宙である説


 

素粒子が大きさのない点ではなく、長さをもった「ひも」と考える「超ひも理論」に基づき、宇宙は、高次元の空間に浮かんだブレーン(膜)であるという説である。

このブレーン(膜)の宇宙は複数存在し、ぶつかり合ってビックバンを繰り返し、その度に宇宙がリセットされるというものだ。

 

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6.宇宙が無限に分岐するパラレルワールド(並行宇宙)説


 

量子力学の一つの解釈にパラレルワールド(多世界解釈と呼ぶ)がある。

今この瞬間にも宇宙は、あらゆる可能性に枝分かれし、無数の並行宇宙が生まれているというものだ。

「バック・トゥー・ザ・フューチャー」というSF映画があったが、主人公たちの行動の違いにより、複数の枝分かれした未来が登場する。これはまさに並行宇宙である。

 

7.人間原理


 

「超ひも理論」が完成すれば、物理の各定数がなぜその値を取っているか明確になると考えられてきた。

ところが研究が進むにつれて物理の定数は、どのような値でも取り得たという可能性が出てきた。

私たちの宇宙は、たまたま今の物理の定数に決まったと考えられている。

宇宙が取り得た物理の定数の組み合わせは、10の500乗(1の後に0が500個並ぶ)になるという。

現在、私たちの宇宙は、生命が存在するのに非常に都合が良い物理の定数となっているという。

これは偶然にしては都合が良すぎる。

なぜ都合がよくできているのか。

その理由は、この宇宙に人間がいるからだというのが人間原理である。

マルチバースによりあらゆる可能性がある宇宙が存在し、その中には生命が生まれた宇宙、生まれなかった宇宙がある。

その中で私たち人間がいる宇宙は、あらゆる可能性がある宇宙の一つなのだから不思議ではないということだ。

 

参考文献

みるみる理解できる宇宙論―宇宙に果てはあるか、どのように誕生したのか 宇宙論 (ニュートンムック Newton別冊サイエンステキストシリーズ)


インフレーション,パラレル宇宙論 (ニュートン別冊)

 

 

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